子育ての落とし穴「自分の言葉に責任を持ちなさい」とよく言いますが…
「自分の言葉に責任を持ちなさい」とよく耳にしますね。
お子さまにこんなニュアンスで言った覚えはありませんか?
結構多くの方が経験あるのかなーなんて思います。
ただ、子どもにとって「自分の言葉に責任を持つことは極めて難しいんじゃないか?」と私はそう感じています。
なぜなら、子どもに「責任を持てるだけの考える時間がほとんど確保されていない」ためです。
無意識の会話が子どもの「主体性」を抑圧している…かも?
例えば、子どもに「この本買いたーい、買いたいー、買ってー」とせがまれたとしましょう。
そこですぐに「良いよ」とはいかず、「本当に読むの?読まないなら買わないよ」みたいな流れになります。
しかし、子どもは「絶対読むからー」と応えますね。
だって、ただただ欲しいわけですから(笑)
そして、「読むなら買うけど、絶対読むんだよ」と念押しして、本を買うことになります。
ごく自然な会話ですよね、本当によくあると思います。
しかし数日後…
「ねぇ、買った本読んだの?」と子どもに尋ねると
「んー面白くなかったから読んでない」
「え?てか、は?」
「あんなに読みたいって言ったから買ったんだよ?必ず読むって約束したよね?」
「自分の言葉に責任持てない人間はダメなんだよ、もう買わないからね!」
結構ありませんか?こんな展開(笑)
私は子育てでこのような展開に直面したことはまだありませんが、教員をやっていると内容は違えど、同じくだりのことはよくあるわけなんです。
この展開に疑いの目を立てることが生まれないほど、ごく自然なことなんだと思います。
しかし、こういったコミュニケーションの積み重ねによって子どもたちは、
「本当はこうしたいけど、もしやり切れなかったらまた怒られるし…言うのやめとこう…」というように、「自分への信頼」を失い、「主張」することが億劫になり、自分で決めたくなくなっていきます。
そして口癖が、「わからない」であったり「どっちでも良い」みたいなことになっていきます。
いわゆる、「主体性」がどんどん育まれづらくなっていくわけです。
では一体どうすれば、「子どもは自分の言葉に責任を持ち、主体的に表現できるようになる」のか?
考える時間をつくり、子ども自身が結論を出すのを待つ
結論から言うと、とてもシンプルになりますが、「自分の言葉に責任を持てるほどの、考える時間と機会を与えた上で、自らの意思で決断させる」、ここに集中することです。
例えば、「大人が35年のローンを組んでマイホームを買う」としましょう。
ほいほいと契約書に捺印しますか?
私は難しいです。
営業の方から「今日契約いただければこんな特典が…」とか、「明日までにお返事いただかなければ他の方へ優先を譲りますよ」とか。
もちろん契約したいから悩むわけですが、さすがに「ちょっと落ち着いて考えても良いですか、どでかい買い物なんでさすがに…」となる方が多いのではと思います。
そこで、「色々な側面から自分なりに考えて考えて」、最終的に「買うか買わないか」を決断するんだと思います。
そして、その言葉や行動に、初めて責任を持てるようになるのだと思います。
つまり、「子どもが本を買う」「大人が家を買う」、その規模は全然違いますが、「責任を持つ」という心づくりに関しては構造が一緒だと考えています。
「色々な側面から自分なりに考える機会」を設けることこそが、「自分の発言や行動に責任を持たせる」ことに繋がっていくのだと思います。
先ほどの「本を買う」例ではいかがでしょう?
「この本買ってー」とせがまれたとき、どのような対話をすることで「色々な側面から自分なりに考える機会」を設けることができるでしょうか?
例えば、
「こんなに本が売っているのに、なぜこの本を選んだの?」
「この本以外に欲しいと思った本はあった?」
「私だったら今、この本が〇〇の理由でオススメなんだけど、どう思う?」などなど。
子どもの性格や発達段階によって、どのような関わりが「考える機会」になるかは異なってくるので、極論「我が子に合った問いかけ方」を模索していくことが最も大切にはなりますが…
「読むなら買うよ?本当に読むのね?」みたいな感じで、「…うん」としか言えない空気を作り、「自分の言葉に責任を持つ」心の準備が不十分なまま「決断」を「誘導」し、数日後に「自分の言葉に責任を…」というのはあまりにも酷な話だなと思いまして(笑)
もし参考になる部分があれば、参考にしていただければなと思います。
まぁしかし色々とご家庭ごとに予定が立て込んでいるので、もうちゃっちゃか決めて本屋を出たい気持ちもよくわかるのですが…。
まとめ
「自分の言葉に責任を持つ」習慣づくりはとても大切なことであるということを前提に、
「色々な面から自分なりに考えて決断を促す、そんな考える機会・時間を、本人が必要なだけ与えた上で、自分で決めたことだから、しっかりと責任を持とうね」という言葉がけが初めて活きてくる、というお話でした。
こういった瞬間瞬間の小さな積み重ねが、子どもの「自分で決めたことをやりきる力」の育成に繋がるのか、「主体性の弱体化」に繋がるのか、その大きな分かれ道になりかねません。
もし可能であれば、 「本人が決めるまで焦らず待つ」ことをお試しいただきたいなと思います^_^